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ブイシェはBGMの盛り上がりも待たずにさっさと入場してくる。
一方、鈴木は花道を渡りきっても素直にリングインしない。黒タオルを被ったままの姿 で、エプロンサイドで二巡三巡する。美意識にしたがってなのか、あるいは迷いがあった
のか? 結局、「風になれ」の「れ」でリングに立つ鈴木。
開始早々、ブイシェはローリング・ソバットを見舞う。ロープまで飛ばされる鈴木。特 にダメージはないように見えるが、観客はどっと沸く。鈴木は気を取り直して掌底から組
み付き、反対側のロープまで押し込んでブイシェに首投げ一閃。
ブイシェはそれでも下から鈴木の腕を狙う。嫌った鈴木と体勢が入れ替わり、ブイシェが 上で横四方。起き上がった鈴木は、回転ヒザ十字を狙ったのか、自分からうつ伏せになる
が、ブイシェの足はつかめず。まったく無防備のままバックを取らせてしまう。ブイシェ はそのままバック・マウント。鈴木は最初から潰れて、両足はロープから出ている。ブイ
シェは難なく鈴木の喉元に上腕を滑り込ませる・・・間もなくタップ。

ブイシェは確かにいい動きをしていた。開始早々のローリング・ソバットといい、チョ ークに入るスピードといい、これが旗揚げ2年までの鈴木相手に勝ったのなら、とんだ掘
り出し物である。しかし、初来日の時はそれに見あうインパクトが有った選手とは言いが たい。今日の試合が爆発的成長の成果でないかぎり、この短期決着は鈴木の側に原因があ
るとしか思えない。やはり気になるのは十字狙いに見えた動きの、グリップのあっけない ほどの甘さである。前回の休場の原因となった握力の低下が頭にちらつく。それとも、私
の想像を超えるスピードで、鈴木は弱くなっているのだろうか? 試合後のコメントがな いために、その原因はあくまで想像するしかないのだが。
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