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渡辺は今日がデビュー戦。2年という異例の長期に渡る練習生生活を経てのこの日を迎 えている。怪我に泣かされ続けてデビューを逃し続けるうちに、石井や渡部がその上を通り過ぎていった。
パンクラシストとして、ピシッと仕上がった身体、蛍光イエローのコスチューム。新人 としては落ち着きすぎの感もあるが、デビューまでの道程を考えれば、当然かもしれない。「廣戸道場」の文字が入ったTシャツを着ての入場は、やはり一番世話になったとい う廣戸トレーナーへの感謝の念の現れだろう。
一方山田は武道館で御披露目した、ジークンドーロゴ入りコスチュームで登場。ロープ最 上段までよじ登ってのリングイン。表情はむしろこちらの方が固いかもしれない。彼も怪我で長期休場を経験してきた選手だけに、渡辺のデビュー戦を受け止めるにあたって深い 感慨を抱いているに違いない。
試合は打撃の探り合いから、山田がグラウンドに引き込む。もしくは足狙いに滑り込む。一度はテイクダウンされたものの、素早く振りほどいて立ち上がる渡辺。その動作が
異常に速い。緊張感がみなぎっている。逃げ足の速さは鈴木に勝るとも劣らない。 それならばと山田はハイキックから距離を詰め、掌底を混ぜながら組み付く。組めば腰
を引いて安易なテイクダウンを許さない相撲状態というのが、最近のパンクラスやVTの 傾向である。しかし、一旦グラウンドに持ちこめば武道館の稲垣戦の続きのように、山田
は丁寧にポジションを取っていく。しかし、今回は積極的に極めも仕掛けていくので、渡 辺も切り返すチャンスを見いだして上のポジションになる。
両者ともグラウンド打撃を積極的に出していく。上だろうが下だろうが、掌底を遠慮な く入れていく。特に山田はマウントからの掌底を、当たり前のように使う。カメになった
状態で下から抱きつかれて、逆マウントのようになったときに、腰をひねってひたすら掌 底を落し続けたシーンは印象的だった。バックを取られないための苦肉の策だろうが、ブ
レイクのないVTであのまま打たれ続ければKOも有りえるシーンだった。(結局、掌底 の指が目に入って、レフェリーが制止、山田にはイエローカードが提示された)
フィニッシュもサイドポジションから掌底を落され、横を向いたところにアームロック を畳み込まれ、嫌がって逃げた渡辺の背中に山田が張りついて胴締めからのチョーク。レ
フェリーの制止されても山田は舌を出して絞め続け、ようやく離したと思ったら敗者・渡 辺の尻を蹴ってどかす非道な振る舞い。新人のデビューはまずたたきつぶしの洗礼から、
というイズムなのだろう。
勝ち名乗りを無視して、四方に礼をしながらひらひら手を振る「一丁上りパフォーマン ス」で勝利をアピールした山田であったが、その表情は奇妙に固いままであった。
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