98・10・26
Tour"ADVANCE"
後楽園ホール

第2試合(10分一本勝負)

 
渋谷修身
東京
10'00"
判定3−0
×
 
窪田幸生
横浜
 
「判定王よ、どこに行く」  Text by 誉田哲也&井田英登

 

 京道場に”出戻ってきた”渋谷を評して、船木は「渋谷は自分のペースで、試合を進 められるようになった。2手3手先を読み、攻められていても慌てなくなった。近いうち にそのまま極められるようになるだろう。」と言っている。また渋谷自身も「今は試合が 楽です」と言っているという。

 しかし、客席から見る渋谷の試合は相変わらずで、定石的展開以外の変化を見いだせない。この試合でも展開は十年一日がごとし、渋谷のワンパターンフルコースである。

 タンドで打ちあう→渋谷、タックル→窪田、フロントチョークに取る→そのままテイ クダウン→渋谷、首を抜きポジション取り→もつれて立つorポジショニング周回に戻る・・・∞ これがエンドレステープのように延々繰り返される。パンクラスを観戦したフ ァンならだれもが、「ああ、あれか・・・」と思い当たる光景があるだろうと思う。

 田もこう素直に仕掛けられればどうとでも防御できるというものだ。約束組み手でも あるまいに、判りきったパターンの順列組みあわせで試合を組み立てていては、一本勝ち で勝利は拾えない。相手の心理の盲点を突いたり、罠を仕掛けることで敵の隙を突くのが サブミッションレスリングというものの妙味であると思うのだが、その点について渋谷は どう考えているのだろうか。単に素直なだけなのか、それともリスキーな動きをしたくな いのか? 毎回毎回、前回の試合の再現ビデオを見せられるような彼の試合は、観客心理 として苦痛である。格闘技選手としての資質をうんぬんするほどこちらも目が肥えている とは言わないが、プロ選手としての渋谷の試合ははっきりいって面白くない。彼の試合の レポートは、ドラッグアンドドロップで前回の物をそのまま貼り付けたい衝動に駆られ る。


 かに現在の総合格闘技はこうした基本パターンの手順によって組み立てられている。 しかし、こんなものは言ってみれば”ベーシック・ワン”に過ぎないではないか。このパ ターンをいかに壊し、相手のペースを乱していくか、それがこのジャンルの「競技性」で はないのか????? もっといえば、その工夫、創意でアマチュアを寄せ付けないのが プロというものであろう。今の渋谷の試合内容なら、大宮で戦っているアマチュア選手の ほうがまだアイディアのある試合を見せてくれる。一つの技術の精度をひたすら磨き続け るというプロ意識というものは確かに存在するが、その点でも彼の試合にはそういった凄 みは感じられない。漫然とレスリングをし、漫然と極めも極められもしない・・・それを 毎月10分間だけ公開スパーリングのように繰り返し、それで観客から高い入場料を取 る・・・そんなプロがあってもいいものか? 


 中2度ほどバックからの胴締めに成功し、チョークのチャンスがあったものの、これを 一発で極めるだけの切れもない。また試合は振り出しに戻る。といって、窪田もこの無限 ループを絶ちきるだけの力はない。活きの良さ、気迫などの点ではすでに渋谷を遥かに凌 駕しているのだが、それが判定に影響するほどパンクラスも甘くもない。3−0で渋谷が 文句無しの判定勝ちになってしまうのである。判定に文句はない・・・が、試合展開には 文句大有りだっ!頼む、渋谷、あと2つでいい、使える技を覚えてきてくれっ!

 

 
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取材:慈村ゆんた カメラ:井田 英登