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選手のサイドストーリーがお好きでない読者にとってはどうでもいい話かもしれないが、この二人は東京道場時代、結構仲が悪かったという。まあ口喧嘩の相手というか、ソリが会わないというだけなのかもしれないが、思考パターンが噛み合わないのは間違えな いようだ。これはネオブラッドトーナメントのパンフレットにも紹介されたエピソードだが、パンクを愛聴する美濃輪に対して石井がこう聞いたという。
石井「そんな歌のどこがいいんですか」
美濃輪「どこがって、歌詞がいいんだよ」
石井「へえ、英語の歌詞でしょ、何言ってるかわかってるんですか」
美濃輪「歌詞カードを見てわかるんだよ」
石井「歌詞カードを見なきゃ判らない歌の意味がいいって、変ですよ」
といった類のやり取りが合宿所でもしょっちゅうあったという。
まあ、本当にどうでもいいような話しだが(笑)。
さて、今年のネオブラッドトーナメントではこの両者の対決が期待されたが、御存知の とおり外人勢の大躍進でそれもならず、その後美濃輪は横浜道場に転出。おかげでこうし
た小競り合いも無くなったようだが、それはそれで案外お互いに寂しかったかも知れな い。そして今回、リングでついにその雌雄を決する時がやってきたという訳である。
黒の石井、赤の美濃輪。両者共、広尾系に流行りつつあるタイトなトランクスを身に付 けている。考えれば、パンクラスを象徴する二つのモチーフカラーのぶつかり合いでもある。やはりこの二人は宿命的なライバル関係なのだろうか(笑)。
序盤数発の打撃からグラウンドに移行すると、美濃輪はニー・イン・ザ・ベリー、サイ ドと素早くポジション を取っていく。その中で、美濃輪は実に珍しいポジショニングを見せる。一旦マウントを奪取したあと、相手の胴のうえで素早く反転し足の方に体を切り返し足を取りに行く。この時はすぐ動きを察知した石井が防御し、極めに移行できなかったが、中盤にも同じポジションチェンジにトライしていた。ヒザ十字か、アンクルへのトリッキーな繋ぎを意図したものだろう。 時折、ジェイソン・デルーシアが見せるアクションではあるが、あの体勢からワン・モーションで入れる極めに移行出来た局面はまだ見たことがない。それにモーションが大きいので、相手に意図を読まれやすく、相手にバックをとらせてしまうポジションになるという不合理性は拭うべくもない。実戦で使うにはリスクが大きいとしかおもえないのだが、 美濃輪としては武器として活かすイメージがあったに違いない。成功すれば、かなり意外な展開となるだけに、是非完成した技として披露して欲しいものだ。
この試合にはこのほかにもいくつか印象的なシーンがあった。

美濃輪がスタンドでフロントから首を取り、飛びつきのガードで引き込もうとした展開 で、石井が背筋を使って立ったままこれに耐えたのだ。結局美濃輪はこの粘りに負けて、自ら取った首を離さざるをえなくなったのだ。フロントネックの防御法としては比較的良く知られた戦法だが、引き込みを多用する選手(パンクラスでは美濃輪や國奥)にとって、これをやられると根気勝負になって、結構こたえる。逆に美濃輪も石井のクロスガードを、持ち上げてはパワーボム的に叩き付けるシーンもあった。そして、美濃輪がタックルから肩まで石井を持ち上げて叩き付けるシーンもあった。いずれも修斗やVTで時折見 られる展開で、基礎体力の要求される技術であるが、その点体力抜群のプロレスラーがやるとダイナミックさが違う。ガードから抱え上げてもちつきパワーボムでたたき付ける技 などは、今年の全日本アマチュアシューティングの決勝で”ハイブリッド・シューター”の桜井隆太が使って相手を失神KOに追い込んだ技である。最近は美濃輪もパワーアップ しているので、体重の浴びせ方などにもう一工夫あれば、そのままフィニッシュに持ち込めるかも知れない。
また極めきれないものの、レッグ・ロック、三角締め、アームロック、珍しいところで はネック・クランクを出すなど、この日の美濃輪の攻めは積極的でよかった。石井は試合時間の大半を防御に費やしていた印象がある。時間切れ判定にはなったものの、美濃輪が3−0で判定勝 ちとなったのはうなずける。因縁の対決(?)は、ひとまず美濃輪の圧勝ということで幕を閉じた。
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